第七頁 サウンドパル来襲

今年も暖冬で、小春日和と表現したくなるような平成10年11月1日、ついにその日はやってきた。

前日に雑誌の取材だからとAVルームの方は一応掃除した。(もちろん自分で!男の隠れ家は女には触らせません)
しかしたった6畳の部屋に80インチのスクリーンを吊るして、一本30キロ以上あるスピーカーを設置し、おまけにマックが2台にプリンター、スキャナーなどが置いてある部屋はかたづけようにも、かたずけようが無い。
せめて、マックだけでも他の部屋にしまい込もうかとも考えたが、「サウンド&ルーム訪問」という企画が普段使っている部屋で、普段使っている機材を用い、家の中にあるものでチューニングするというものなので、せっかくすばらしいセッティングをしてもらっても、あとからマックを持ち込んでしまっては台無しなのでそのままにしておいた。

だいたい著名人の書斎拝見でも「ホンマに普段からこんな綺麗にかたづけてるんか〜?」と思いつつ見ている私は「まあ、ええか。高校生の時友達から、私の部屋を称して (ゴミ箱)と言われていた頃から見ると随分綺麗になったしな」と割り切った。

しかし、嫁さんはさすがに主婦だけあって普段はホコリだらけの家をピカピカに磨きあげやがった。
おまけに朝からおもちゃをひっくり返して遊んでいる子供に 「あんたらええ加減にしときや〜」と怒鳴り散らしていた。

  う〜ん初対面の御客人をお迎えするので、ピリピリしているようだ、、、 恐い、、、。

そして、 運命の時 はやってきた。
お昼を数分過ぎた頃「ピンポ〜ン」とチャイムが鳴った。
ウ〜緊張する。ついに尊敬する及川公生先生と御対面だ!

及川公生(おいかわ きみお) --- 録音エンジニア、音響専門学校講師として活躍中(サウンドパルより)とこれだけ見れば、「ふ〜ん」てなもんでしょうけど、私にとっては中学生の頃より読んでいて、バイブルとして崇めていた(サウンドパル)に沢山寄稿し、その内容に惚れ込んでいた人だけに、まさにスーパースター(超個人的に)なのです。

現実に拝見するとサウンドパルで見たイメ−ジどうり、恰幅のある体格と野太い声、まさに「頼れるオヤジ」タイプの方でした。

そしてその後ろに山本剛史先生が!
山本剛史(やまもと たけし) ---音響建築専門の一級建築士として活躍中。エイ、アンド、エイ、デザイン代表(サウンドパルより拝借)

山本先生は、サウンド&ルーム訪問でハード側のセッティング担当の及川先生に対して、部屋のチューニングを主に受け持っておられます。他誌には見られない部屋側の対策を明確かつ解りやすく解説してくださるので、いつも参考にさせてもらっています。
山本先生を生で見た感想は「理解ある親戚のおじさん」という感じで、丁寧な話し口調と柔らかい物腰は歌舞伎の女形の化粧前といったイメージもお持ちです(ちょっと言い過ぎか?ゴメンなさい。)

「どうぞ!狭いところですがお入りください」と慣れない標準語で(たぶん聞こえたと思う)招き入れた。
そして三階のオーディオルームへ
入るなり及川先生が愛用のジャンボ回転座椅子(通販で1万円、リモコン収納ひじ掛け付き)にドッカと座り、 「では、普段聞いてらっしゃる音楽を聞いてらっしゃる音量と環境でかけて下さい」とおっしゃった。

むむ、早速始めるのか?世間話もなしに! さすがプロフェッシャルだ! と感心した。
さて、なにをかけるかが問題だ。オーディオ誌なんかを見ると試聴には大体クラシックとかジャズのナンバーが使われている。
でも、私は両方ともほとんど聞かないし(オーディオのチェック用に何枚かは持っているが、聞き込むまでは至らない)普段聞いてる歌謡曲(最近はJ-Popとか言うンやね〜、なんでも横文字にせんといて欲しいわ!)や最近昔を懐かしんで聞いている80年代のヘビメタでは、ちょっとカッコ悪いのではないだろうか?と前日まで考えて、考え過ぎて寝られなかった私はしかたなしに飯島真理さんのアルバム出してきた。
飯島真理さんは昔、小学館提供の「FMレコパル 音の仲間達」(だったと思うが定かでない)というFM放送番組のDJをしていた事があり、及川先生もゲストで出ておられた事もあるので、
 「む、こ奴  パルマニア (私が作りました。小学館のパルのつく雑誌のマニアの事)だな?」と思わしてやろうと思ったのだが、その思いが届いたかも定かではない。

アンプに灯を入れ(真空管じゃないですけど、この表現かっこいいでしょう?)窓の木製ブラインドをおろし、アンプの音量ツマミを10時の位置に。
音楽が鳴り出すと一同聞き入る、、、30秒ぐらいだったが、長い長い沈黙だ(音楽はガンガン鳴っていたが)いったいどんな評価が下されるのか。ウ〜緊張する。

試行錯誤の末セッティングしたシステムの評価をプロがしてくださるんだから、当然でしょう? 
もしかしたら「完璧だ!もう手をいれる事は無いですな。」と言われるかも知れない。 
そう言われたら サウンドパル始まって以来の快挙 だ〜!(そんな訳ないわな)

プロフェッショナルの仕事jpg試聴しておられる及川先生の顔を覗いてみる、、おお!集中しておられる、渋い、渋すぎる。まさにプロフェッショナルの顔だ。


山本先生も後ろに立って聞いておられる。 こちらも集中して聞いておられる。
は〜プロの職人さんの顔ちゅうのはほれぼれするな〜。
わしもこんな顔のできるプロの商売人になれたらええな〜とまったく関係無い事を考えているうちに試聴は終了した。







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