第六頁 おいでやす!サウンドパル

突然の電話


平成十年十月の初旬、夜8時頃営業中の藤村屋に一本の電話がありました。

 「もしもし、わたくしサウンドパルの竹内と申しますが」

御得意さんからの注文だと思った私は、聞きなれない名前に思わず「は?」と聞き直してしまう。

 「サウンドパルの竹内と申しますが、一浦靖博さんでしょうか?」

へ?サウンドパル? サウンドパルいうたら、昔FMレコパルちゅう雑誌やってその後サウンドレコパルちゅう月刊誌になり、最近季刊誌になって内容もぐぐっと充実し、ただのハード紹介雑誌に成り下がった他のオーディオ誌とは一線を画した、内容的にも「音楽と酒と酒の肴」みたいなお洒落な内容がめじろおしの八代目が中学生の頃から愛読している、まさにバイブルと崇め奉っている小学館刊行のあの雑誌か???

と一瞬脳裏を駆け巡った事をググッ飲み込み「サウンドパルというとあの小学館の?」となんとか返事を返した。



 「はいそうです。一浦さんは以前(サウンド&ルーム訪問)という当雑誌の企画にお手紙を下さいましたよね?、、、、かなり前になるのですが?」


そう言えば一年程前、ホームシアターの立ち上げ時に手持ちのスピーカーで5、1チャンネルを再生するのにどのスピーカーをどの部分にセットすれば良いか悩み苦し紛れに手紙を出したような記憶が。

「は、はい。そういえばかなり前に手紙を出した記憶があります(まだ、この時点でも状況が理解出来てません)。 しかし、それがなんで、また、あの、」


 「来月の一日に大阪でハイエンドオーディオショウがありますよね?」

はいはい、わたくし行きたいんでございますよ〜。でもね、四人の子持ちで日曜しか休みが取れないわたくしは、休日でも家族サービスでいそがしのであります。 そのようなイベントはわたくしには別世界の出来事であると強制的に諦めていたんであります。ふっ。

 「ハイエンドショーでお馴染みの出前試聴会がありまして、それに及川先生が出られるので、その前に一浦さんのお宅にお邪魔しようかと思っているのです。」



やっと状況が理解出来ました。
そうですか、あのオーディオ界の「お宅訪問」に当家が選ばれた訳です。
「はい!ぜひお願いします。及川先生もおいでになるのですか?それはそれは、おそれおおい事です。くわばらくわばら(?)


 「?(なにいうてんねん、こいつ頭おかしいにゃろか?と思われたか定かでない。)はい、及川先生と山本先生、カメラマンと私の四人でおじゃまします。御都合はよろしいでしょうか?」

うれしさと期待で頭が混乱している私は予定表を確認する事無く、二つ返事で了承しました。 子供の七五三を予定を忘れて、、、


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