初級の壱 鮭
お歳暮などで貰った鮭を御近所の魚屋さんの手をわずらわすことなく自分で切ってみましょう!
鮭は魚の中でも比較的切るのが、簡単な魚です。
お歳暮に貰った塩鮭は消費するのに苦労しますが、自分で切る事が出来れば片身を三つぐらいの大き目のブロックに切ってラップに包んで冷凍しておき、食べる分だけ解凍し、小さな切り身にして美味しく食べる事ができます。
冷凍にした場合でも大きな切り身のほうが乾燥が防げるので美味しさがより持続するんです。
ちなみに今回の鮭はどこの家庭でもある
「台所包丁」で切っています。
仕事で使っている包丁で切っといて、皆さんに「台所包丁で切りなさい」といっても「包丁がいいから八代目は上手く切れるんだ」と思われれるでしょ?
台所包丁でも塩鮭や生鮭は十分切れますよ。
ただし、安物の塩鮭で身がのり状になっているヤツ、あいつはいけません。
さすがの八代目でもこいつには泣かされます。
藤村屋ではこのような鮭はあつかわないのですが、「お歳暮でもらったから切って下さい」とよく持ち込まれるんです。
このような鮭をもらった時は、
冷凍庫で少し凍らして(シャーベットぐらいに)から切ると切りやすいようです。
美味しい鮭の見分け方
- 1. 魚体からみて頭が小さいもの
- これは大方の魚で言える事です。秋ぐちにはいって魚に脂がのってくると身体が太ってきます。
- 太っても頭の大きさはあまり変わらないので、こうなる訳です。
- 2. 腹かわ(ハラボとも言う)が分厚い事
- 人間と同じで太ってくる(脂がのってくる)とお腹が大きくなります。
- ようするに、あばら骨の外側が分厚くなるのです。
- 3. うろこが少なくあまり銀びかりしていないもの
- 理由は解りません(はずかしながら、、、)
- 永年の経験での見分け方です。
鮭の種類
- 現在日本で手に入る鮭はこんなもんです。
- 紅鮭---一番多く店頭で見られる鮭です。
- 捕れる場所、季節によって味や値段が違います。値段の高い物から並べますと、近海産紅鮭(いわゆる本チャンと呼ばれるもの)、カナダ産紅鮭(スーパーはほとんどコレ)、秋鮭(秋口に川を遡上する鮭)
- 銀鮭---色が紅鮭より白っぽいが、味は悪くない。 養殖の小形のものもある。
- チリ産サーモン---皮肌に細かい斑点がある。脂がのっているが、のり過ぎていやらしい。養殖しているようです。
- その他、近縁種の鱒(マス)も数多い種類が入荷します。
ヒレを切る
鮭の胸ビレ、腹ビレ、尻ビレ、背ビレを切り落とします。
最初に鮭の頭を右側に腹を手前にくるように置きます。
この状態で鮭の頭からシッポまで通っている中骨(人間でいうところの背骨)を中心にして、上になる方を
上身
(うわみ)、下になる方(まな板に接している方)を
下身
(したみ)と呼びます。
まず上身の胸ビレ、腹ビレ、尻ビレを切り落とします。
頭を左、腹を手前にくるように置きなおし上記と同じ部位のヒレを切り落とします。ヒレを切り落としたら頭の付け根に中骨まで切り込みを入れます。
この時包丁は右45度くらいに寝かします。
頭を切り離す
頭を左に置いたまま、背中側を手前に持ってきます。
頭の付け根に先ほどと同じように包丁を入れて、頭を切り落とします。
切り口はちょうど三角形になります。
残ったヒレを切り取る
尾ビレを持ちあげ、背ビレなど残っているヒレを切り落とします。
シリビレもきります。
二枚におろす
中骨の上側に沿って包丁を頭側(右手)からシッポ(左手)に向けて入れていきます。
このように一回の包丁で二枚におろすのを「大名おろし」といいます。
大名おろしとは最終的に捨てる中骨に身がおおく残ってしまう切り方なので、こう呼ぶようです。
鮭は中骨の幅が大きくないので大名おろしにしても骨に残る身が少なくてすみます。
コツの伝授
1、包丁が水平になるように(解りやすいように背ビレを切り落とさずに大名おろしにし、背ビレの上を包丁の先が通るように切っても良いかもしれません。)
2、包丁の下側が常に中骨に接しているように切る(上身と下身のバランスがとれます)
身を切っている時の感触と骨を切っている時の感触が違うので、感触を覚えれば歪んでも直に気が付き修正する事ができます。
切り身をつくる
魚の切り身は魚のどの部分を切っても同じ値うちになるように切らなければなりません。
魚は、頭、まん中、シッポのほうと長さや厚味が違いますし、そのまま真直ぐに切るとまん中ばっかり良い切り身になってしまします。
家庭で使う分にはそれでも良いいかもしれませんが、やはり上手に切った切り身は美味しく見えるものです。
八代目が丁稚時代に師匠が切った切り身と自分で切った切り身をならべてみると、自分の切った切り身のほうが重さがあったのに、師匠の切ったほうが早く売り切れました。
やはり師匠の切ったもののほうが、美味しそうに見えたのでしょう。
まず長さの問題ですが、切り身の横幅を同じにしようとするとシッポの方は斜めに、お腹中央で真直ぐ、頭の方で少し斜めに切ります。
これを一切れづつ徐々に角度をかえて切り進んでいきます。
急に角度を変えると切り身の皮の部分が斜めになってしまい、いびつで美しくない切り身になってしまいます。
また、包丁自身を斜めにすらして、ちなみに藤村屋は赤い身の方から包丁を入れますが、地方によっては皮肌の方から包丁を入れる所もあります。
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包丁の角度のイメージ図
尻尾の方は斜めに、頭に近づくに従って、包丁を立ててる事にご注目下さい(下手な絵ですみません) |
カマのところが腕の見せ所です
カマの所でいかに身を残さず先に切った切り身とおんなじ大きさの切り身をとるか
最後の切り身を作る5切れ前くらいから、計算して切りましょう!
下身も切り進める
今度は下身をきりましょう。
下身の場合は腹の方を手前に置いて切ります。
先ほど説明した様に、しっぽの方は包丁をななめにして切っています。
この包丁の角度を良く見てください。
包丁をてらしているでしょう?
このてらし方で赤い身が見える量が変わります。
赤い身と皮の絶妙のバランスが鮭をよりいっそう美味しくみせます。
包丁をてらす角度もやはりしっぽの方は身が薄いので多めに
まん中では垂直よりやや寝かして
カマに近づくにしたがってじょじょに寝かしていきます。
どうです?上の写真より包丁が起きているでしょ?
こうして並べてみると切る角度が良く解るでしょ?
はい!出来ました。
では、ちょいちょいとならべまして、、、
はい!どうっか?おいしそうに切れました。
これで御近所の魚屋さんの手を煩わさなくてもいいし、いらんお礼しんでもよろしやろ?
ここで切っている鮭は千島列島周辺でとれた汐紅鮭です(業者言葉で"本チャン"なんて呼びます)
現在日本ではこのほかに
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カナダ産紅鮭(スーパーではほとんどの塩鮭がこれです)
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チリ産サーモン(皮はだに星のような点があります。脂はあります)
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アラスカ産サーモン(最近、すし屋で"紅トロ"と称して売っています)
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国産養殖銀鮭(魚体は小形で色は白目で美味しいのですが、抗生物質がね〜どうでしょう)
などの世界中の多くの鮭が入手できます。
その他、秋に川に産卵に上ってくる
紅鮭
を「秋しゃけ」とか「秋あじ」なんて呼びますが、産卵直前のため卵に栄養をとられあまり魚体はあまり美味しくありません
TVなんかでは、「おいしい」と大騒ぎしますが、、、アホですな!
秋鮭はバター焼きとか、フライにしなければ美味しく食べられません。
どうでっか?鮭が食べたなってきましたやろ?
ふっふっふっ、、、八代目のねらいどうりやね。
藤村屋の美味しい塩鮭(本ちゃん)はこちらで販売いたしております。
ご注文お待ちもうしております(ちょっとずるいかな?)
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